家づくりのはじまり

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家づくりのはじまり

生活の3大要素である衣食住。
日本の衣食は、世界とひけを取らないレベルにまで発展してきたにもかかわらず、
住環境だけが、相変わらずどうも冴えないのはなぜでしょう。

日本の住環境が活き活きとしない大きな要因の一つは、
そこに住まう個々の価値観やライフスタイルとは無関係に、
供給者側の都合によってつくられた一方的な“形式”の中での生活を、
多くの人々が強いられている、あるいは、自ら強いているからかもしれません。

例えばnLDKといった形式。
これは、戦後の住宅量生産時代に浸透した間取りの形式で、
人の生活を、就寝、団欒、食事、炊事といった行為に単純化し、
それらに専用のスペースを与えることが、
”豊か”で”機能的”だと思われていた時代のものです。
高度経済成長期の核家族を想定した2LDKや3DKといった間取りは、
公団の集合住宅や、建売分譲住宅などの量産住宅に採用されてきました。
当時の時代背景による必然性のあるなしは別にして、
問題は、未だに、家を借りたり買ったりする際、
そのような”形式”から考えてしまう習慣があるということです。
しかし、同じ2LDKでも、120m2のものと50m2のものとでは、
全く異なる住環境となることは言うまでもありませんし、
50m2の家にそこまでして部屋数を確保することが、
自分たちのライフスタイルにフィットするとも限りません。

そもそも、居室と言う単位で”間取り”を考えることが本当に有効なのか、
“機能的”とは何を基準に判断すべきことなのか。
自分の土地に家を建てようと言う人や、
自分の家をリノベーションしようという人は、
少なくとも、このような既製の”形式”に縛られて家を考える必要はありません。

しばしば、家は買うものではなく建てるものだといわれますが、
この両者の違いは、
既に出来上がっている”結果物”を品定めして得る行為と、
建築家や施工者などのプロの能力を駆使して、
ゼロから”モノを作るプロセス”を得る行為の違いです。
既製の形式にライフスタイルを合わせるのではなく、
ライフスタイルにあった環境を生み出す自由を獲得することが、
家を建てるという行為です。

当然のことながら、
この住まい手の価値観や人生観を、じっくりと具体化していくプロセスは、
ある程度の生みの苦しみと時間を必要とします。
我々は設計者として提案は致しますが、
予算との折り合いも含め、最終的に取捨選択する判断は、
住まい手自身にかかっています。
けれども、そうやって、ひとつひとつのことを噛み締めながらつくられた家には、
単なる”結果物”として以上の、
かけがえのない”意味”という豊かさが宿るに違いありません。

多様な価値が認められ、共存しなければならない現代社会では、
中世の街並みのように、全ての家が同じ形式を纏うとことは不自然ですし、
そのような時代を真似ようとしても、
人工的で表層的な住環境にしかたどり着かないでしょう。

一方で、個々の住まい手が、自らと向き合うことによって得た、
素直に豊かだと感じられる意味と価値の蓄積が、
街や地域全体に浸透していったとき、
日本の住環境は、誰の目から見ても活き活きとしたものになるのではないでしょうか。

なぜならば、
一番大切なことは、
そこに住まう人々が、楽しく快適であると感じる日常を送れることだからです。

それでは、そのような家づくりのプロセスは、
どうやって手に入れることが出来るのか。

施主の為の家づくりのプロセスのヒントを、
このコーナーでは紹介していきたいと思います。

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