#1 手段より目的が大切

住まいづくりを考える際、その入り方というのは、実はとても大切です。

しかしながら、そもそも、“良い住まいとは何か”などということを、
意識的に考えながら日常生活を送っている人はそれほど多くはないはずです。

しばしば、家づくりを思い立った建主が陥りがちな入り方は、
目的ではなく、手段から入ってしまうパターンです。

例えば、
「4LDKがいい」
「外張断熱の家がいい」

前者は間取り形式から入り、後者は断熱仕様から入っているわけですが、
いずれもこれらの要望からは、建主の価値観やライフスタイルを伺い知ることは出来ません。
恐らく、言っている当人もイメージできていないことが想像できます。

土地があって、ゼロから家づくりを考えられるのに、
分譲住宅の検索条件のようなキーワードから入ってしまうのは、とてももったいない話です。
逆に言うと、
形式や性能というものは、建築家が建主の目的やヴィジョンを確認した上で、
敷地条件や予算などを考慮しながら具体的な提案を行い、
それに対して建主がリアクションを返せばよいことでもあるのです。

一番大切なことは、
住まい手が、新しく建てようとする自分たちの家で、どのような生活を送りたいかという、
住まいをつくる“目的”です。
それは、隣の家がそうだからとか、
テレビのCMで宣伝していたからといった受身的な理由からではなく、
冷静になって自分たちのライフスタイルや価値観と向き合うことから導かれるべきでしょう。

大きな敷地に予算の上限なく好きなように建てられるという状況は通常はありません。
しかし、様々な制約がある中でも、
住まい手にとっての豊かさを、可能な限り実現することは、不可能ではないかもしれません。
ただそのためには、より本質的なアプローチが必要なのです。

形式や性能といった手段から入ることは、
自ら余分な制約を与えているのと同じで、
結果として、住まいの可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。
一方で、本当にやりたいことを明確にすることは、フットワークを軽くし、
そこへたどり着くための様々な方法を、
柔軟性を持って吟味することを可能にすることがあります。
そのような状況になれば、
建築家をはじめとするプロの提案力を、もっと効果的に活用できるかもしれません。

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