#6 リフォームも立派な家づくり

「#5 設計プロセスはデッサンのようなもの」へ戻る

僕が以前働いていたことのあるヨーロッパでは、古い建物を購入し、
リフォームや増改築を行って住むというのも、“家を建てる”に等しい行為でした。 

世界的著名な建築家ですら、建築とリフォームとの間に線引きするこはなく、
個人住宅のリフォームもやっていました。

ヨーロッパでリフォームが主流なのは、
もともと、特定エリアの公共施設や商業開発などを除いては、
新築が許可されないエリアが多いということもあります。

ましてや、個人が新しい土地を買って家を建てる際には、
日本で言う街づくり条例的なものや、近隣住民からの反対などによって、
計画許可が下りないケースがあり、
土地を買って家を建てるとか、既存の建物を建替えるというのは、
かなりの勇気が必要なことなのです。

僕自身も、独立前の最後の方で、イギリスの建築設計事務所で働いていた時は、
新築のプロジェクトはやりませんでした。
けれども、新築とリフォームとで、建築家としてやることが違うかと言うと、
ほとんど変わりません。
新築で言う“土地”が、“既存建物”になっただけで、与条件に対して、
オリジナルの住環境をつくりだすプロセスは同じです。
リフォームはたくさんの制約があり、設計の手間も多いですが、逆に、
新築以上に面白いものが生まれる可能性も秘めています。

日本の場合、“リフォーム”と“修繕”とが混同されて使用されるケースも多いせいか、
建築家にリフォームの設計を委託する人は少ないように思います。 
しかし、修繕というのは、古くなった壁紙の張替えや、
設備機器類の取替えなどのお色直しを含む、メンテナンスのことで、
本来のリフォームの意味とは異なります。

リフォームというのは、英語ではRefurbishment(改装)や、
Extension & Alteration(増改築)と言いますが、
単なる表層的な化粧直しではなく、既存の状況から必要な骨格だけをとらえ、
建主のニーズにあわせて新しい住環境を作り上げることです。
ヨーロッパでは、これらは、New Built(新築)と同様に、
建築家の設計業務範囲の一つとして扱われているわけですが、
それは、極めて、自然なことと言えるのです。

「#7 家づくりとコストマネージメント」へ進む