#8 住宅の設計期間はどれぐらい必要か

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建築家との家づくりにはどの程度の期間が必要かご存知でしょうか。

通常の戸建住宅の場合で、設計期間半年+α、工事期間半年、
設計と施工を併せると、合計1年+α程度は、最低限必要と考えるべきでしょう。

長いと思われる方もいるかもしれませんが、いざ始めてみれば、
これでも短いとすら感じるかもしれません。

設計期間半年+αの内訳目安は、
基本設計に2ヶ月、概算調整に1ヶ月、実施設計に2ヶ月、最終見積調整に1ヶ月程度
と考えるとわかりやすいでしょう。
確認申請を、最終見積調整期間中に行うか、それらが済んでから行うかによって、
プラスαの期間が必要になります。

基本設計と実施設計の違いのイメージは、「#5 設計プロセスはデッサンのようなもの」
でも少しお話しましたが、表現を変えて説明しなおすと、
基本設計は、どのような家を建てたいかを決めるステージ、
実施設計は、それをどのように建てるかを詰めるステージともいえます。

実施設計というのは基本的には技術的なステージです。
どのような家を建てたいのかが基本設計の段階で決まっていれば、
ほとんどは、建築家側で詰める作業に充てる時間で占められる為、
比較的期間予測が立ちやすいステージです。

予定通りに行かないケースが多いのは、基本設計のステージや、調整のステージです。

基本設計のステージは、建主と建築家がキャッチボールをしながら、
計画を具体的な案としてまとめていく段階です。
僕の事務所の場合、隔週での直接打ち合わせと、メールでのやりとりなどを繰り返し、
プランや基本的な仕様、デザイン的なイメージなどの計画案をまとめていきます。

このプロセスは、うまく行けば概算調整期間も含めて3ヶ月程度でまとまることが多いですが、
いくらキャッチボールをしても、建主自身が、ヴィジョンや目的が見出せず、
その日の気分で、住みたい家やライフスタイルの考えが変わってしまうような場合だと、
いつまでたってもまとまらない可能性があります。

金額調整のステージというのは、見積額と予算を照らし、優先順位を見極めながら、
理想と現実のギャップを埋めるステージです。
基本設計とは違う意味で、何をやりたいかを決めるステージでもあり、
建主自身がその判断に時間を要すれば、その分全体の工期に影響を与えることになります。

このように、家づくりの設計期間というのは、建築家側の一方的な作業から、
単純に算定できるというものではありません。

そのようなこともあり、僕の事務所では、設計・監理契約を締結する際、
いついつ竣工を目指すのであれば、どんなことをいつまでに決めなければならないかを、
建主に伝えるようにしています。
そして、決断のタイミングと、その他の作業との関係性がわかるように、
詳細スケジュール表をつくり、たとえば、あるポイントの決断が遅れた場合、
必然的に他のどの部分が遅れることになるかがわかるようにしています。

もちろん、裏を返せば、基本設計や金額調整の期間というのは、トントン拍子に決まれば
全体の設計期間を縮めることもできるということですが、一生住むかもしれない家を、
どたばたしながらあまり考えずに決めてしまうのは良いことではありません。

標準的な設計期間ぐらいは、確保するようにしたほうが良いと思います。

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