家づくりの心得

1. 家づくりは人を使ってモノをつくること

家づくりは、在庫商品を値引いて買う交渉のプロセスではありません。人(=専門家)の能力を活かして、建主が自らの価値観を具体化するプロセスです。建主、建築家、施工者の3者が高いモチベーションで望めるかが、家づくりの成功に繋がります。お互いの役割と責任を尊重し、より良い関係を築くことが大切です。

2.  予算はいつも厳しいもの

やりたいことに対して、予算が無尽蔵にあるという人は稀です。予算がないからといって落ち込む必要はありません。限られた予算の中で優先順位を見極めること、本当に必要なものは何かをきちんと考えることは、理想と現実の隙間をひとつひとつ埋めていく、とても建設的な行為です。出来たことも出来なかったことも一つ一つ噛み締めながら行なっていくことが大切です。

3. 建築家は工事を請負わない

設計を始める前から、根拠のない坪単価によって工事費を提示する建築家や、建築家が工事費を決定できると誤解している建主をみることがありますが、建築家は発注する側である建主の側から工事発注図書をつくる立場であり、工事を請負う側ではありません。また、工事請負見積額の根拠である材料単価、工賃、諸経費は万国共通のものではなく、施工者独自の粗利率を掛けて定められており、発注する側に立つ建築家が決められるものではありません。 この家はいくらぐらいでしたという話は、守秘義務に違反しない限りにおいてお伝えすることは出来なくはないですが、それ自体は、これから取り組む家がいくらで出来るかを保証するものではありません。それよりも高くなることもあれば安くなることもあり得ます。建築家の役割は、具体的な設計図書を元に、施工者が行なった見積をチェックし、予算に応じた設計調整を、建主の意向を組みながら行なうことです。例えば、Kimizuka Architectsの場合、建主のリスクコントロールを考え、企画段階、基本設計段階、実施設計段階の3段階に分けて施工者から見積をとるなど、段階的に予算と設計内容を調整するようにしています。

4. 建主にも役割と責任がある

予算を提示すること、建築家に設計・監理を委託し、施工者に工事を発注し、支払いを遅延無く行なうこと、事前に定められたスケジュールに応じて決めるべきことを決めること、敷地や既存建物の情報を建築家に提供することなど、建主にも役割と責任があります。

5. 家は育てるもの

家は竣工して終わりではありません。定期的なメンテナンスをはじめ、建主自らがきちんとケアしていくかいかないかで、劣化の速度も変わっていきます。マンションは管理組合や管理会社などが、これらを行ないますが、戸建て住宅の場合は、建主自身が計画的に管理していく必要があります。