同世代の建主にもっと知ってほしい

僕は建築設計事務所を運営していますが、
どうも僕たちの職業は、日本ではイマイチ理解されていないようです。

最近は一般のデザイン誌などでも、
建築家の設計した住宅が取り上げられる機会が多くなり、
昔よりは認知度が上がってきたようにも思います。

けれども、それらが生み出されるプロセスや、
建築家へのアプローチの仕方などについて、
きちんと理解している人は少ないでしょう。

多くの建築設計事務所は、自分たちの仕事のやり方を、
書籍やインターネットなどを通じて公開しています。
しかし、それらはなかなか目に留まらず、いつの間にか、
”敷居が高い”とか、
”どうやって相談してよいのかわからない”
といった印象が植え付けられてしまっています。

ただ、最近は、特に30代の若い世代の中には、
インターネットをうまく使いこなし、自ら必要な情報を得て、
興味のある建築家に直接アプローチして相談する、
という人も多くなってきているようです。

これは、TV広告やショールームなどによる広告宣伝費や、
営業マンの人件費などを費やすことのない僕たち建築設計事務所にとって、
とても良い傾向です。

同時に、一昔前の世代とは異なり、
自ら情報を収集し、良いと感じるものを探そうと言う、
ニッチ志向とも言える世代の台頭は、
家づくりの可能性を広げるものでもあります。

情報を発信する僕たちと、
その情報を求めている建主たちとが出会う切っ掛けが、
インターネットという電子メディアを通じてであったとしても、
野菜の産地直送ではないですが、
建築家の存在も、今後はより身近なものとなっていくと良いと思っています。

僕はイギリスに住んでいた頃、
個人住宅ばかりやっている小さな事務所で働いたことがあります。
そこでは、ホームページだけで、
年50件近い問い合わせが来ているという話でした。
もともと、住宅を建てたり、リノベーションする際には、
建築家に設計を直接頼むことが当たり前のヨーロッパでは、
インター ネットはかなり重宝されているようです。

一方日本では、注文住宅でさえも、
設計施工一括発注が依然として市場を支配していることもあり、
建築家と家を建てるというのは、知る人ぞ知るプロセスであったりします。
興味はあるが、システム的に良くわからない、
と言う人も多いのではないでしょうか。

このサイトは、建築家が建主側に立って発注図書をつくり、
(建築家=図面を描くだけの人という意味ではありません。)
それをもって工務店に工事を発注する、
”発注する側(=建主)が主体となった家づくり”に、
興味のある人たちの為に立ち上げました。

僕が話すことが全てではありませんし、
建築家によって、違ったスタンスを取られている方もいるかもしれません。
しかしながら、このサイトにたどり着いた方々が、
少しでも、建築家との家づくりとはどんなものかを知り、
自分たちの家づくりのプロセスに参考にして頂けるようであれば、
とても光栄なことです。

君塚健太郎
きみづかアーキテクツ/1級建築士事務所