最後の追い込み

OLYMPUS DIGITAL CAMERA内装下地張り前の報告以降、長らく更新しておりませんでしたが、現場は着々と進んでおり、既に足場は外れています。

このブログは監理報告書の補足ブログなので、意図的にデザインのことや、観念的な話は控えてきました。しかし、実際の現場では、性能や品質の設計監理だけを淡々と行っているわけではもちろんありません。でなければ、最終的に出来上がる建築物自体も魅力あるものにはならないからです。このブログで扱ってきた話は、その意味では極めてベーシックで客観的な部分、汎用性のある部分であったかもしれませんが、より本質的なことというのは、実はまったく別のところにあったりするのです。

さて、現場では、建主や施工者と行ってきた多岐にわたる様々な次元の打ち合わせ、そして、自分自身の頭の中で試行錯誤してきたことの結果が、少しずつ具体的な一つの姿として表れ始めてきています。建築というのは本当に、さまざまなレイヤが織り重なって生じる一つの現象なのだと感じる瞬間でもあります。

写真は、ちらっとその外観を覗いたところです。これでけではわからないと思いますが、いずれ、竣工写真をアップするまで、その全貌はお預けにしておきます。

傾斜天井の断熱

OLYMPUS DIGITAL CAMERA上の写真は、2階の一部にある船底天井と、下がり壁部の断熱施工状況です。

今回の一般天井部は、75㎜厚のグラスウール2枚を置き敷きしています。

傾斜天井は、施工のしやすさを考えると、150㎜厚1枚の方が上手く固定できるとは思いますが、施工者側の強い要望から、一般部同様に75㎜厚2枚を置き敷きしています。

どうやったかというと、一枚目は野縁に耳を固定し、2枚目は長いマットを天井の頂点が中央になるようにして、長手方向に被せたということです。まあ、そうすれば、確かにずり落ちてはこなそうです。

ところで、天井断熱は、野縁の上に置き敷き、つまり、上に載せているだけになりますが、置き敷きの精度によってどうしてもグラスウールマットについている防湿層が断続的になります。そこで、写真のように天井野縁側には防湿フィルムを貼っています。

小屋裏換気があって、かつ、寒冷地でもなければ、必ずしも野縁下に防湿フィルムを張る必要はないのですが、その場合は、せめて石膏ボードを4周打ちにしてジョイント裏に野縁をまわしたいところです。適度な気密性が保たれることで24時間換気扇が効果的に機能し、冬場の室内にある湿気を排出してくれます。

この防湿層というのは意外と現場で軽視されがちですが、面材耐力壁で固められた現代木造の外壁の防湿層は、内部結露防止上、非常に重要なものとなっています。もっとも、今回は面材耐力壁のほとんどが、ダイライトで構成されているので、構造合板と比較すると透湿抵抗が低く、壁内に侵入した湿気による内部結露がしにくい計画となっています。(構造用合板が透湿抵抗10.0㎡・h・mmHg/gに対して、ダイライトは3.0㎡・h・mmHg/gと、壁内に侵入した湿気をせき止めずに通気層に導きやすい構造となっている。)

窓ガラス

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かなり時間が空いてしまいました。

実際の現場の進捗とはタイムラグがありますが、今日は窓ガラスについてのお話です。設計監理の補足ブログということで、今回もとても地味な話題を持ってきました。

現場でガラスが建て込まれた際には、上の写真のような紙が貼ってあります。設計監理者としては、ここに記載されているガラスの仕様が、設計の仕様と合致しているか確認を行います。ガラス本体にも刻印があるものがほとんどですが、光の加減によってとてもとても見ずらく時間もかかるので、通常はこのような紙が貼られている間に確認してしまいます。

今回は断熱性能的には、空気層12mm以上のLowE遮熱の複層ガラスで設計されています。今回のチェックのポイントのひとつに、LowEガラスが外側に構成されているかというのがあります。内側になっている場合は、遮熱性能がまったく変わってしまします。寒冷地の場合は遮熱よりも断熱を優先するため、LowEガラスを内側に構成にすることも多く、図面を見ないで施工する業者だったり、発注前に施工図や仕様確認を行わない業者だと間違えることがあります。

もっとも、今回のように、LowE遮熱の複層ガラスにしたからといって、断熱的に不十分というわけではありません。むしろ、今回の場合は、LowE遮熱の複層ガラスにしなければ、遮熱的に十分でないと考えたため、この様な仕様になっています。

このようなLowEガラスは、ひと昔前まではとても高価なものでしたが、最近の住宅市場では標準スペックになりつつあります。省エネ市場の発展速度は凄まじいものがあり、省エネ基準も頻繁に更新されていますが、今後も、さらにハイスペックなガラスが比較的安く市場に流通するようになるのかもしれません。

設備機器類もそうですが、そういう新陳代謝の激しいものが、建築の扱うべき本質なのか、わからなくなることがあります。個人的には、少なくとも性能が建築の本質だなんて思っていませんが、むしろ、当然にクリアしていなければならない問題として考えるとき、その基準をどこに据えるべきかは難しいところです。個人住宅の場合、杓子定規でなく、クライアントの価値観や豊かさの尺度によってもその基準にバリエーションがあっても良いのではないかという意見が正直なところです。

バルコニー防水

水張試験 少しわかりずらいですが、 陸屋根(バルコニー)FRP防水の水張試験状況です。水上まで水を張り、24h放置して水位が下がっていないことを確認しています。

防水は、品確法によって施工者が瑕疵担保責任を問われる工事です。また、瑕疵担保履行法という法律によって、工務店は瑕疵担保保証(ハウスメーカー等は供託が多い)に入っています。

この瑕疵担保保証が義務化されたことは、良い面、悪い面があります。保険が効くからという理由で防水に対する施工管理が甘い現場も少なからずあるように思います。また、昔と比べれると標準的な防水の技術も向上しているので、下請けに一任しているという状況も現実的には多い印象を持っています。

だからというわけではないですが、私は設計者として、陸屋根の水張試験を工務店が行うことを特記仕様書で指定するようにしています。指定しないと、現場でやってくれない工務店も少なくないからです。しかし、水張試験を行うというのは、元請である工務店が、防水工事の施工品質を管理するうえでの、必要最低限のモラルです。それは、下請け業者の行った防水工事の受け入れ検査のようなものだからです。NGとなることが稀だからといって、確認しないというのは、元請として品質管理していないのと同じです。

また、水張り試験が面倒だからと言って、ホースで水をかけるだけの試験しかしない工務店もいますが、それも本来ではありません。なぜならば、陸屋根におけるFRP防水の勾配というのは、水はけのためにつけているだけで、品質的には勾配ゼロで水が溜まり、プール状態になっても漏水しないというものでなければならないからです。

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上の写真はパラペット部分の防水処理です。今回は、手摺壁ではなく、高さの低いパラペットのため、FRP防水と、外壁の透湿防水紙をブチルテープで一体化しています。この上に通気胴縁を兼ねたパラペット笠木の受け下地を、同じくブチルテープを挟んで打ち付けます。外壁通気層を伝ってきた空気を、パラペットの外側ではなく、内側から抜けるようにするのは、嵐のときなどに吹き付けた雨が、パラペットから侵入する可能性を防ぐためです。

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これは別の部位ですが、パラペット笠木の受け下地兼通気胴縁を入れるとこのようになります。この上に笠木が取り付けられます。

こういった諸作業は、大工さんがやってくれるわけですが、元請業者である工務店が指示して確認しなければなりません。そして、そういった一連の処理が行われたかをさらに第三者の視点から確認するのが我々設計事務所の監理になります。このようなディテールは、設計図書に描いておけば良いとか、瑕疵担保保証の設計施工基準任せにしておけばよいというものではなく、現場で再度確認をしながら進めないと、きちんと施工されずに隠ぺい部となってしまうケースもあります。

小屋裏換気について

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外壁通気層の流れで小屋裏換気についての話をしたいと思います。

小屋裏換気もまた、冬場、屋内から上がってきた湿気を排気したり、結露を乾かしたりするためにあるものですが、それ以上に、夏場の小屋裏の熱だまりを排気 する意味合いがあります。

そもそも、小屋裏に敷設される断熱材は冬場対策上は十分ですが、夏場の暑さに対しては、それだけで完全に太刀打ちできるものではありません。仮に、ある程度太刀打ちできたとしても、小屋裏がものすごい温度になっていることは、構造部材にとってもよいことではありません。

今回の勾配屋根は、遮熱塗装タイプ(JIS規格塗膜種類5類)のガルバリウム鋼板を使用したうえで、小屋裏は、軒天給気、換気棟排気による換気を行っています。

軒天スリット

写真は軒天の給気スリットを見上げたところです。フルハイトサッシが多いので、サッシの上に必要なだけの給気スリットを仕込んであまり目立たないようにデザインしました。サッシの色も黒いので、下から見るとほとんどわかりません。

軒天も給気スリットも非常にきれいにつくられています。

この素晴らしい軒天については、また別の機会に触れたいと思います。

通気層について

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写真は、透湿防水紙を貼ったうえに、通気胴縁を打ち付けているところです。今回はいくつかの仕上げの種別によって、横胴縁と縦胴縁を使い分けています。縦胴縁はあまり心配いりませんが、横胴縁は通気ルートがふさがらないように注意する必要があります。簡単のように見えますが、裏側の柱や間柱に留め付けなくてはならないのでうまくやらないとルートがふさがってしまう場合もあります。

この通気層は、一義的には、冬に、屋内側からの湿気が、外壁の断熱材を通過した際に、面材耐力壁あたりで生じる内部結露を乾かすため、もしくは、結露を逃れて通過した湿気を、そのまま排気するためにあります。もっとも、冬場の内部結露や湿気の量は、一部の寒冷地を除き、昔に比べて少なくなってきていると言われています。ひとつは、エアコンやフロアヒーティングなどの台頭により、灯油ストーブなど水蒸気を多量に排出する暖房を使わなくなったことがあります。また、断熱材の防湿層をしっかりと施工していれば、裏にまわる水蒸気も少なくなり、大概の湿気は法律で義務化されている24時間換気扇が排気してくれます。24時間換気扇は、シックハウス用に義務化されてものですが、冬場の内部結露対策としても効果があります。

通気層は同時に、外部仕上げ裏に染み込んだり、侵入する可能性のある雨水を、乾かす役割もあります。この点では縦胴縁の方がより効果的のようにも思えますが、普通の状態でじゃばじゃば水が通気層の中を流れ落ちるわけではないですし、仮にそのような状況が起きたとすれば、そもそも、外壁の修繕が行われなければならない個所があると思われるので、縦も横も大きな差はないと言えます。

通気層の施工で気を付けるべきは、窓や、換気扇などの外壁開口まわりの防水措置です。透湿防水紙の裏側に水がいかないよう、防水テープ等でしっかりと措置をほどこす必要があります。外壁仕上げ側だけにいくらシールしても、それだけでは片手落ちです。

通気層を構成する通気胴縁は、特に規定があるわけではないですが、スギ等の耐久性区分D1の樹種や、構造用合板、無機質材等で施工されることが多いと思います。また、防腐処理を施した木材も使用される現場もありますが、水に濡れた場合の、揮発性の防腐剤と透湿防水紙の相性の悪さが顕在化してからは、あまり積極的に用いられなくなった印象があります。

今回は18㎜厚のスギを通気胴縁として使用しています。

外壁断熱工事

現場は着々と進んでいますが、忙しさの余り、前回の更新から大分時間が空いてしまいました。

進捗は、屋根やバルコニー防水の目途がつき、サッシの建込みや内部の断熱工事が進んでいます。少々、変則的な進め方をしているので、テーマを絞ってブログを書くのが難しかったというのも、更新が遅れた理由の一つですが、今回は、外壁の断熱工事の話をしたいと思います。

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写真は外壁に、105㎜厚の高性能グラスウール16kを充填している状況です。もっとも標準的な光景だと思いますが、きれいに充填されていると思います。グラスウールは袋に包まれているのですが、屋内側に面している方が防湿層を構成しています。屋内の湿気がグラスウールの裏側にまわりこまないように、写真のように防湿層の耳を柱や間柱の正面に留め付けてグラスウールを充填していくことが基本です。防湿層の施工がしっかりとしていれば、冬場に屋内の湿気が壁の中に入り込んだ場合にグラスウールの屋外側で起こる内部結露を軽減することが出来ます。そして、壁内に入り込めない湿気は、24時間換気扇が排気してくれます。

このような理屈は、今や断熱工事の常識となりましたが、それでもまだ、防湿層が破けていたり、真壁でもないのに、防湿層の耳をわざわざ間柱や柱の側面に打ち付けて不連続に施工しているような現場は結構あります。正直、そういうレベルの施工者だと、言えば直るというものではないので絶望的になるわけですが、今回はこのようにきれいに施工が出来る施工者でとても良かったです。簡単なようでいて、やる気がないと、本当に雑になるのが断熱工事です。

上の部分にはテープが張られているところがありますが、これは、天井裏になるところです。石膏ボード等が上から張られない天井裏の壁などは、防湿層をホチキスで留め付けただけではどうしてもゆるゆるとなるため、このようにテープを張るだけでだいぶ違います。

外壁断熱2

また、今回、バルコニーとの床段差部分で2段梁となっているところなどで、構造合板で固めることによって水平構面の剛性に配慮しているところがありますが、こういう部分は断熱の充填をし忘れないように施工者には再三注意を促し、合板施工前に写真も撮影してもらいました。上の写真で、窓の上の断熱材は天井裏の壁ですが、一本梁を挟んでその上の断熱材は、2段梁に挟まれているところで、最終的には構造合板でふさがれてしまうところです。この写真はその断熱材が忘れずに施工されているかを確認するためのものです。

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これは、同じ個所を後日撮影したものですが、このように構造合板が張られてしまうと、断熱材が確認できないので、事前に確認しておく必要があるわけです。

ところで、今回の現場は、写真でもわかるように、イレギュラーな部分も、グラスウールの袋ををきちんとカットしてうまく入れてくれています。これも、ひどい現場では、いちいち寸法にカットするのが面倒くさいのか、グラ スウールがぐちゃぐちゃに押し込まれていたりしています。そういう施工をすると、同じ材料を使用していても、断熱性能は落ちてしまうことがわかっています。

断熱の話はまだいろいろとありますが、今回はもっとも標準的な外壁の話でした。

 

 

剛床について

どんなに耐力壁がしっかりと施工されても、地震時に建物に生じる水平力が、それらの壁に伝わり、最終的には基礎に伝達されていかなければ意味がありません。そのためには、2階の床や小屋床、屋根といった水平面の剛性(変形のしにくさ)が必要になります。比較的壁の少ない開放的な空間ではこの水平面の剛性は非常に重要です。

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今回の計画ではどうなっているかというと、まず各階の床面は、24㎜厚の構造合板を、910グリッドに組まれた格子床組に対して打ち付けています。根太がないので根太レス構法と呼ばれていますが、現代の在来軸組住宅では今や一般的なものとなりました。昔のように、梁の上に根太を敷きその上に薄い合板を張った床よりも剛性があるので耐力壁に応力を伝えるのには効果的です。

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また、小屋床と屋根については小屋床には火打梁、屋根の野地板は24㎜の構造合板によって固められています。

垂木

垂木は軒桁や棟に対して、落とし込まれているか、もしくは、上の写真のように垂木間に面戸(転び止め)が施されることにより、屋根の剛性を上げています。また、これは剛床とは別の話になりますが、これらの垂木は、桁や母屋、そして棟に対して、原則、上からタルキックという構造ビスで留め付けることで、風による負圧に耐えられるようにしています。(庇のある軒桁については2本打ちしています。)

小屋筋交い

主要な耐力壁のある上部や、棟下などには、小屋筋交い等を設け、小屋組み全体の剛性を上げ、耐力壁に応力が伝わるよう配慮してあります。

また、このような剛床でもう一つ重要な点は、床面に生じた応力のひずみは、最終的には外周部にまわっていくので、その際に梁が外れないようにしておく必要があります。梁の継手や、柱との仕口に対して十分な金物による補強が必要になります。

短冊金物(外)

場所によっては、梁の継手の両面に、接合金物を設置するよう指定している個所がいくつかあります。たとえば、上の写真は、建て方時に撮影された、外周梁の継手ですが、両面に取り付ける場合の外側は、外壁の面材が張られると確認できなくなってしまうので、事前に確認しています。

 

耐力壁について

先日の雨の中、躯体検査を行いました。細かい直しもほぼ終えて、工事は着々と進んでいます。
今回は、耐力壁の話をしたいと思います。この建物は、3種類の耐力要素を組み合わせて、何種類かの耐力壁をつくっています。

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これは、外壁の面材耐力要素に使用しているダイライトによる大壁です。(大壁というのは柱や梁の外に面材が張ってある壁を言います。)厚みは12㎜で、N50釘が所定のピッチで打ち付けられています。ダイライトは無機質系の耐力壁なので防腐防蟻処理の必要がありません。また、透湿性も高いので、室内の湿気が壁の内部に侵入した際も、合板と比べると内部結露がしにくいという特徴があります。

合板

次のこれは、構造合板による大壁床勝ち仕様の耐力要素です。数は少ないですが、内部や雁行した外壁の耐力壁に用いています。厚みは12㎜で、CN50釘が所定のピッチで打ち付けられています。紛らわしいですが、この耐力壁だけ釘の種類が異なっています。ダイライトや合板の床勝ち仕様は大臣認定の耐力壁の為、釘の種類を変えることは出来ません。CN釘とN釘の違いは釘の頭でわかります。緑色でフラットな頭で50と印があるのがCN50釘です。一方、N50釘は網目が付いた黒い頭に50と記されています。

合板中桟

合板は梁と梁の間を一枚モノで施工できる場合は良いですが、中間で継ぐ場合には受枠となる横桟の最低サイズも決まっています。しばしば、この横桟を2本束ねて施工されているケースがありますが、その場合は上下が分断されてしまっているので認定されている強度が得られません。

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そして、お馴染みの筋交いです。今回の筋交いは、写真のようにたすき掛けが基本ですが、一部片筋交いをペアで用いているところがあります。片筋交いだけの現場もありますが、その場合には筋交いの向きのバランスを配慮する必要があります。

今回の設計では、これら3種類の要素を組み合わせた、合計6種類の耐力壁を、平面計画の機能性を損なわない範囲で出来るだけバランスよく配置しています。

躯体施工状況

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前回から工事のペースは大分落ち着きました。外壁の面材耐力壁や、柱、梁等の接合金物の施工が着々と進んでいます。

間もなく、我々設計者及び検査機関の中間躯体検査が行われますが、そこでたくさん指摘事項がでると是正やその確認も大変なので、こうやって定期的に現場を見て、勘違いや連絡の行き違いなどによっておかしな状況になっている部分や、調整を要する部分等の指摘や協議をするようにしています。あまり、常駐監理のように頻繁に行き過ぎると、現場を見る目が設計監理者(第三者)ではなく、施工者と同じ内側の視点になってしまうので、どうしても気が付きにくい点が出てきます。かといって、間が空きすぎると、見るべきところが見れずに前に進んでしまいます。経験的には、施工者とタイミングを図りながら週一ぐらいのペースがちょうどよいと思っています。今回も、いくつかの指摘や協議を行うと同時に、前回指摘事項の、是正されたものについて確認を行いました。

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例えば、これは、以前のブログで紹介した高耐力アンカーボルトに取り付いている柱脚金物です。大地震の際に耐力壁によって生じる柱の引き抜き力に対して、柱が抜けないように取り付いている金物ですが、この箇所は応力が集中するため、通常よりも高い強度のものを設置するよう設計されています。あまり使わない金物なので、初めは違う金物が、勘違いされて設置されていたのですが、前回指摘したことで、既に是正されていました。このような小さなことの積み重ねによって、中間検査時には出来るだけ指摘が出ない状況にして、次のステップにスムーズに進んでいきたいと思っています。

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話は変わりますが、これは、床下の基礎断熱の施工状況です。以前のブログでは基礎の立ち上がりに設置したところを取り上げましたが、雨が中に入ってこない状況になってきたので、基礎スラブの外周にも設置している状況です。高基礎の床上部分の断熱については、次のステップです。

この外周の基礎立ち上がりとスラブの断熱材によって、床下が外気の温熱環境の影響を受けにくくなります。また、外周以外の内側の基礎スラブは、中長期的に、1年を通じて安定している地熱環境と同化していくため、冬場と夏場、ともに省エネ効果が発揮されることが知られています。なお、この外周基礎スラブの断熱材は、建物全体での熱損失的な影響があまりないと判断できる場合もあり、敷かないケースもありますが、今回は基本に忠実に設計してあります。

次回は中間検査後になりますが、躯体の話を、少しいろいろと説明できたらと思います。